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韓国パーク・システムズ(水原)は原子間力顕微鏡(AFM)の専業メーカー。創業者で最高経営責任者(CEO)であるサンイル・パーク博士が、米国でAFMを開発したスタンフォード大学の

ケルビン・クエート教授に師事し、1997年に帰国して立ち上げた。現在は日本、米国、ドイツ、中国、シンガポールなど世界10か国に海外法人を置き、4月には韓国株式市場での時価総額が1兆ウォン(約1000億円)を超えるなど成長を続けている。

AFMはサンプルやワークの表面とプローブ(探針)の間に働く「原子間力」を検出して画像にする顕微鏡。前処理や真空チャンバーなどが必要なく、対象物を自然な状態で観察することができる。ナノメートルの世界で研究・開発するための最も正確な計測方法として、素材・材料、電気・電子、ライフサイエンス、半導体などあらゆる分野で利用されている。

パーク・システムズのAFMの特徴は独自に開発した「フラットスキャン」技術。一般的にAFMに使われるチューブタイプスキャナ(圧電素子)は原理上、動作の歪みの発生などにより広い範囲や凹凸が大きいサンプルの測定には向いていない。フラットスキャン技術はXY軸のスキャナとZ軸のスキャナを分離することで水平方向に歪みのない動作を実現している。

サンプル表面に接触しない「ノンコンタクトモード」も同社の強みの一つ。原子間力によりプローブとサンプル間の距離を数ナノメートルに維持することで、チップやサンプルの損傷を低減。高分解能のスキャニングを長く継続できる。同社はこれらの独創的な技術と性能の高さで世界的に支持されている。

 

PSJ Kim

2021年6月に発売した原子間力顕微鏡FX40と金 鍾得 社長

 

このほど発売した「Park FX40」はフラットスキャン、ノンコンタクトモードといった技術を継承しながら、新たに人工知能(AI)を搭載することで複雑・難しい操作を排除。スキャン前の準備を全自動化するとともに、指定した複数のポイントを目的に応じて自動測定できる。AIによる自動機能は機械学習により継続的に適正化される仕組みで、初心者でも高精度な計測を可能にした。

ユーザーフレンドリーな設計と相まって手軽に使えるAFMとして、ナノテクノロジー分野の発展に寄与することが期待される。